武まゆみと偽りの記憶

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現在、日本でも取調の一部については録音・録画が実施されていますが、取調室という密室で行われたやりとりの全てを当事者以外の者が知ることは極めて困難です。

しかし、本庄事件には、武まゆみに対して行われた取調の様子を第三者が知ることのできる極めて貴重な資料が存在します。それは、武まゆみ自身が取調の内容を詳細に記録したノート(通称「武ノート」)です。

私は、自分で記憶にふたをしてしまう程の嫌な、そして、とても悪い事をしていた。今、その記憶のふたをあけて、よみがえらせる事ができて、本当に良かった。それもこれも、みんな佐久間検事のおかけだ。私の事を信じてくれた事が、とてもうれしい。私は、本当にとぼけていたわけではなくて、忘れようと思って、とじ込めていたのだと思う。(中略)
自分のやった事を正直に話す事は、勇気のいる事かもしれないけど、正直に話すのは、気持ちがいい事だ。私は、忘れていた事を思い出させてもらって、とてもさっぱりして、すがすがしい気持ちになれた。ありがとうございます。
(武ノート9冊目12/12)

これは、武ノートの一文です。武は、平成12年10月から2ヶ月に渡って来る日も来る日も一人の女性検事の取調を受け続けることになります。その取調の日々の中で武は「記憶のふたをあけてくれて、ありがとう」と検事に対する感謝の言葉をノートに書き記したのです。

その後、武はそれまで全く説明できなかったトリカブト殺人に関する記憶を検事と共に驚くほど詳細に「回復」していくことになります。武を担当した検事の取調は、「記憶回復セラピー」のカウンセラーの面接と瓜二つです。本庄事件と「武ノート」は、八木さんが無実であることを示す重要証拠であると同時に、「偽りの記憶」という現象を私達が理解するのに最適な第一級の資料であるともいえます。

詳細は、「死刑判決の問題点 第3章 武まゆみの証言と記憶」をご覧下さい。

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