一審判決(抄)

第六 被告人による総合感冒薬等の購入

 

一 関係証拠,殊に被告人の当公判廷における供述や,証人長谷川裕之及び同荒井郁男に対する当裁判所の尋問調書等によると,被告人は,平成10年秋ころから同11年春ころにかけて,相当量の総合感冒薬等の薬剤を購入したことが認められる。すなわち,まず,本庄市日の出3丁目1番24号所在の「サンエスドラッグ日の出店」においては,同10年10月ころ同店を訪れて,鎮痛剤と風邪薬を2,3個ずつくらいまとめ買いしたのを手始めとして,それから同11年5月にかけて多数回同店を訪れ,この間,鎮痛剤であるイブA錠やプレコール持続性錠を1度に2個以上購入したり,ときには同店に在庫していたプレコール持続性錠を全部購入したりしたこと,最後に訪れた同月終わりころには森田を同行し,被告人が「60歳くらいの男性が夜になると咳がひどくて呼吸困難になる。医者が嫌いで行きたがらない。」などと述べたので,感冒薬パブロンS錠とセキセチン咳止めシロップを勧めたところ,被告人が両方とも購入したこと,その際,店長から,これらを一緒に飲まないよう注意されたことが認められる。また,埼玉県大里郡花園町小前田2540番地所在の「ベスト花園薬局花園店」においては,同10年8月ころから同11年5月にかけて多数回同店を訪れ,この間,同10年8月18日にプレコール持続性錠(27錠入り)5個,イブA錠(36錠入り)5個,同(48錠入り)5個,同年9月6日にイブA錠(36錠入り)7個,同(48錠入り)4個,同月15日にイブA錠(48錠入り)5個,同年10月22日にイブA錠(48錠入り)4個,ブルファニック7個,同年11月1日にブルファニック10個,同年12月8日にイブA錠(36錠入り)8個,同(48錠入り)5個,新ルルA錠(110錠入り)5個,同11年1月9日に新ルルA錠(110錠入り)3個,同年3月28日に新ルルA錠(110錠入り)11個,プレコール持続性錠(27錠入り)2個,同年5月2日に新ルルA錠(110錠入り)8個,プレコール持続性錠(27錠入り)5個をそれぞれ購入したことが認められる。

二 弁護人は,被告人がこの2店舗において大量の薬剤を購入したことはなく,被告人の来店状況に関する薬店関係者の証言は信用できないと主張するが,被告人自身,当公判廷において,これらの薬局で,「5つ,6つとか,何回かに分けて買ったことはある」旨述べられていることや,前記長谷川及び荒井の各証言内容に照らし,上記認定に疑義を入れる余地はない。

三 被告人は,これらの薬剤を購入した理由につき,当公判廷において,關から薬を買ってきてくれと頼まれたので,薬局で買って届けたものである旨弁解するが,風邪薬や鎮痛剤等をまとめ買いする理由について,前記長谷川証言によると,被告人は初めて「サンエスドラッグ日の出店」を訪れた際,「うちには若い衆が一杯いる。」などと述べ,また,荒木証言によると,「ベスト花園薬局花園店」に来店した際には,「店の子がしょっちゅう痛がる。」などと述べたことがそれぞれ認められる上,被告人の供述に従うと,關方には被告人が届けた相当量の薬剤の痕跡が残されるのが通常であろうと思われるが,関係証拠によれば,關死亡後の同人方に残された物の中にはその形跡を窺わせる物が見当たらず,これらの事実に照らすと,關に頼まれて届けた旨の被告人の先の弁解は相当に疑わしいといわざるを得ない。

 

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