一審判決(抄)

 

第四 川村の身体から採取された血液,毛髪等の鑑定結果

 

一 関係証拠によると,平成11年5月30日,深谷赤十字病院において採取された川村の血液と胃内容物からアセトアミノフェン,イソプロピルアンチピリン及びノスカピンが,胃内容物からさらにクレマスチンが,それぞれ検出されており,また,同年8月6日に採取された毛髪については,前記中原が,關の場合と同様の思考のもとに,1.2センチメートルごとに8分画にして分析した結果,同年6月前半ころからさかのぼって6か月間以上にわたる分画から,アセトアミノフェン,イソプロピルアンチピリン,ジヒドロコデインが,さらに,どの時期の分画から検出したものか特定はできないが,クレマスチンの代謝物であるカルビノールが,それぞれ検出されたことが認められる。

したがって,川村は,入院直前にアセトアミノフェン,イソプロピルアンチピリン,ノスカピンを含有する薬物を摂取したばかりか,そのころからさかのぼって数か月以上にわたり,アセトアミノフェン,イソプロピルアンチピリン,ジヒドロコデイン,クレマスチンを含有する薬物を継続的に摂取していたものであることが推認されることとなる。

二 弁護人は,これら川村の血液や,胃内容物,毛髪に関する鑑定書についても,その関連性,証拠能力,証明力等を争うが,前記第二に記載したところにより,弁護人の主張は失当といわざるを得ない。

三 次に,弁護人は,川村の血液から検出されたアセトアミノフェンの濃度は,平成11年5月29日に服用した薬剤に関する武,川村の証言を前提とすると,計算上得られる推定血中濃度の2倍以上と以上に高く,捜査機関による作為が介入している疑いがある旨主張するが,弁護人はその主張の前提として,アセトアミノフェンの半減期を2時間として計算しているところ,東京薬学情報研究所所長で薬物治療学の研究者である福室憲治の当公判廷における証言及び捜査関係事項照会回答書等によると,大量投与や繰り返し投与の場合には半減期が延長される場合のあることが指摘されており,川村のアセトアミノフェンの血中濃度のデータに関し,半減期を2時間とした数値を前提にして論ずるのは当を得ないものと考えられる。

 

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