第14章 武は森田と川村に風邪薬をあげていたか

5 武まゆみの証言

 

さいたま地裁判決は、風邪薬事件についての武の自白は、「鑑定結果などともよく符合しており、トリカブト事件の自白に比して一段とその信用性は高いものと考えられる」という。はたしてそうだろうか。

武まゆみは、川村富士美と森田昭に対して、平成10年7月終わりころから翌平成11年5月下旬にかけて毎日のように、「酢の薬」あるいは「精力剤」と偽って、イブA錠、新ルル-A錠、プレコールを合計10錠から20数錠を与え続けたと証言した。武がこのような証言をしたのは、既に詳細に述べたように(第3章)、取調べで佐久間検事から「このままでは死刑になる」「あなたを生きて帰したい」「八木を助けてあげようよ」「あなたが自白すれば八木も自白するかもしれない」などと脅迫と偽計、量刑約束を言われ続け、公判廷でもその影響を受けたままなされたからである。このようにしてなされた武の証言は、他の証言との整合性もなく、不合理な変遷や不自然な内容に満ちている。

 

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