第10章 森田昭の死因

肺炎・胸膜炎組織写真の所見からいえること

 

むしろ、炎症組織の顕微鏡写真は、森田の好中球に問題がなかったことを物語っている。
齋藤は、鑑定書に、「肉眼的に混濁のみられた肺実質部分は、肺胞内に軽度~中等度の炎症細胞浸潤(好中球主体)が見られ(肺炎の所見)」と記載し、法廷でも、肺炎の組織標本を見て、好中球が異常に少ないという印象を全く持たなかったと証言した。
そして、より詳しくは、小林が証言している。すなわち、森田の肺炎の組織写真は、武田論文に掲載された好中球が減少している場合の肺炎像の特徴とは全然ちがう。武田によれば、好中球が減少している場合の肺炎像の特徴は、細胞浸潤が極めて軽度であり、かつ肺胞壁は肥厚することなくむしろ薄壁化し、その断裂破壊が著明になったというものである(武田1992p39)。しかし、本件組織写真は、細胞壁が肥厚し、薄壁化しておらず、断裂破壊もないことを小林が法廷で認めている。
また、小林には、法廷で、森田の胸膜の組織写真を見てもらったが、その写真にはかなり好中球はある、好中球の固まりが写っていると証言した 。

【写真10-2 森田の化膿性胸膜炎の組織像(齋藤鑑定書より)】

写真10-2 森田の化膿性胸膜炎の組織像(齋藤鑑定書)

itsuwarinokioku_line

Comments are closed