第8章 絡み合う3本の糸

3 利根川死体流し

判決は、こう述べている。

武とアナリエは、その際、アナリエが河原でつまずいたことや、利根川の川岸で佐藤の死体を被告人と武が長い棒(モップ)で突いて流したことを一致して証言しているところ、さらに、森田も、被告人らが戻ってきた後、アナリエがカウンターの中の椅子に座って足を拭きながら、「ターちゃん、足濡れちゃったからサンダル貸して。」と言ったことや、武がモップで佐藤の死体を突っついたら流れていった旨発言したとして、これと合致する証言をしている。これらも、それなりに特徴的な出来事であって、3名が3名とも、全く経験していないことを創作で証言したなどとは到底考えられない。

しかし、アナリエが河原でつまずいたことや、八木や武が佐藤の死体を長い棒で突っついて流したことも、やはり、3人の「共犯者」の供述が絡み合って完成されたものなのである。
そして、考子は、アナリエが「ターちゃん、足濡れちゃったからサンダル貸して。」と言ったと証言するが、当のアナリエは、考子にそのようなことを言ったなどとは、一言も証言していない。つまり、彼女らの捜査段階の供述を検討するまでもなく、証言調書を見ただけで、判決が「3名が3名とも」と言っていることが明白な誤りであることが分るのである。

まず、この点に関する3人の供述の絡み合いを見てみよう。ここでも、起源となっているのは、考子の供述である。

平成7年6月3日、佐藤修一を殺して平成7年6月4日の早朝、八木、まみ、アンナの3人が利根川で佐藤修一の死体を流した事について話します。
この話を聞いたのは、いつの日かはっきりしませんが、
まみ「モップをもっていってよかったね。それでつついて流したけど、雨がまたふれば流れるだろう」
八木「いまの時期だと水も多くなってくるだろうし、そうすれば流れて行くだろう」
と話したのです。
このまみが話したモップというのは、レオの店の外に壊れた緑色のえのモップがあったのですが、佐藤修一を殺して利根川に流した後にはなかったのです。ですから、まみはこのモップのえの棒をもっていったと思います。
そして、
まみ「つっついて流れたんでそのまま帰ってきた。」「アンナに足をもたせたらちゃんともたなかった」
とも話しています。
それから死体を流して帰ってきてから、アンナが私に
アンナ「ターちゃんサンダル貸して」
と私からサンダルを借りて帰っています。(考子H12/8/9上申書)

考子が上申書で語ったことは、9月12日に調書として完成する。

そして3人が帰って来た時に、私は心配になって3人の居るカウンターの方に行くと、八木はカウンターの中の水道で手を洗ってうがいをしていたのです。その時マミは、行く時に着ていた黒っぽい割烹着を着てなかったし、マミの態度は特に変わらない状態でした。しかし、八木の態度は幾分落ち着かない態度であったし、アンナは、茫然としてどうして良いか分らない状態で何も話さなかったのです。そして、八木がマミに、「山へ言って燃やせば良いがね」と話したり、そして八木は、「マミはすげえ力だよな、1人でかついじゃうんだからな。土方に行けば普通の男以上の働きするんじゃねえ、俺は腰が痛くなっちゃったけど。アンナは良いよ私が1人でやるからって言ってマミが1人で車に荷物を積むようにぽんと乗せちゃったんだよな。ベルトと襟首を持って乗せちゃったんだよな」と話したのです。又、河原で佐藤さんの死体を車から出す時に、アンナが足の方を持ったが引っ繰り返って足を濡らしてしまった。その時マミが車から引きずり出したような話もしたのです。
***
そして、マミ「モップを持って行って良かったよね、それでつっついたら流れて行ったけど、雨が降ればもっと流れる」と佐藤さんをモップの棒でつっついて流したと言うことを言ったのでした。このモップと言うのは、レオの店の外に水道の蛇口があるのですが、その所に床等を掃除する濡らして使うモップが何本かあって、他に、乾いた床等の埃を取るダスキンのようなモップの棒が、金具のところが壊れた状態になっているのがそれ以前から立て掛けてあったのです。ですからその後このモップが無かったように思いますので、このモップの棒をマミが持って行って佐藤さんの死体を流す時につっついたのだと思います。そして、八木「今の時期からだと、水も多くなってくるだろうから流れていくだろう」、マミ「アンナに足持たせたらちゃんと持たなかった」、八木「しっかり持ってないから転ぶんだ」等と話したのです。そしてアンナが私に、「ターちゃんサンダル貸して、濡れちゃった」と言って、私の貸したサンダルに履き替えたのです。私は、レオの店には当時2足位サンダルを置いてあったのでした。アンナが履物を濡らしたのは、八木とマミが話した、アンナが佐藤さんの死体の足を持った時に転び、その時水に入って濡れてしまったのだと思います。(考子H12/9/12警察官調書)

このような考子の供述は、武にぶつけられる。武は、捜査官から、考子の供述内容を教えられ、利根川での状況を思い出すよう迫られた。これについては、武は、刑事や検事から教えられた考子の供述の内容をノートに詳細に書きとめている。

今日は、鈴木さんが来た。
刑事の調べ。
☆考子は、死体を見ている。
☆ゲロなどのそうじは、アナリがしている。
☆考子の話はリアルで、見てきたような話だと言う。
☆このままいくと、考子の話が一人歩きして、それが利用される。私は、その場合、すごく悪い立場になる、と言う。
***
宿題
佐藤さんに、トリカブトをあげたときのようす
その後、トリカブトが効いて、その間のようす
死体を利根川に運んだ時のようす(武ノート5冊目:10/27)

☆ 考子の話、6月3日の日
***
戻ってくると、アンナが
アナリ「ターちゃん、サンダルかして」
と言うので、見ると足がびしょぬれだった。
だから、川に行ったのだと思った。
八木「ちゃんとしねえから、川にはまるんだ」
アンナ「だって、・・・」
この会話から、川でアンナがハマッたのだと思ったという
***
☆ 渡辺アパートのこと→考子の話
***
マミ「モップ持って行ってよかったね」
「つっこくれたから」
→川で死体を押したのではないか?と思う→考子

八木「マミはすごいんだ。1人でかついじゃったんだ」

死体のことを言っていると思ったという→考子

まみ「アンナはいいよ」(武ノート5冊目:10/28)

このように、武は、捜査官から聞かされた考子の供述を、克明にノートに記している。ここでひとつ気付くことは、この武ノートの記載からしても、考子が、多くの想像を交えて物事を語る性質をもっているということである 。アナリエの足がびしょぬれだったので、川に行ったのだと「思った」と言うのである。武が「モップ持って行ってよかったね」、「つっこくれたから」と言うのを聞いただけで、川で死体を押したのではないかと「思った」と言うのである。八木が「マミはすごいんだ。1人でかついじゃったんだ」と言うのを聞いただけで、かついだのは死体だと「思った」と言うのである。

少し話がそれたが、武は、捜査官から、考子が語る話を詳細に聞かされ、そして、利根川での場面を思い出すように宿題を出されるのである。このような武と捜査官の共同作業の中で、武は、徐々に思い出してゆくのである。

今日は鈴木さんの調べだ。
東松山の取調室がいっぱいなので、本庄署で調べだった。
刑事の調べ。
***
☆ 利根川にモップを持って行ったか?
それはわからないけど、その後、レオのモップは元々4本あったのだけど、3本になっていた。
モップを持って行く、というアイデアは、私が出したと思う。
***
☆☆☆
利根川の川原で八木さんがモップを持っていた
川っぺりに立っていた→八木さん

八木さんから「モップを持って来い」と言われて、私が車から出してから八木さんに渡した。
***
宿題
利根川でのようす
***
6月3日の当日の行動(今わかっている事)
?18佐藤さんを車に乗せて利根川へ行った
?19利根川で佐藤さんの死体を川に流した
?20その時モップで死体を押した
***
☆☆☆
佐藤さんの死体かどうかわからないけど、八木さんが川にモップを伸ばしていた。(何かを押しているような)絵が浮かんだ。
モップを押しているのが、八木さんか私かわからないけど、持っている側がヒモの方で、川の方がえになっている絵が浮かんだ→絵の感じから考えると私だと思う。(武ノート5冊目:11/1)

この11月1日には、調書は作られていない。このノートの記載からすると、武は、捜査官からモップに関する点を執拗に追及されていることがわかる。ノートの記載を具体的に追ってみて、取調べの状況や武の思考過程を推理してみよう。

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武は、捜査官に「利根川にモップを持って行ったか」と聞かれても、持って行ったかどうかなどわからなかった。と言うよりも、モップを持って行ったなどという記憶は全くなかったのだろう。しかし、捜査官は、簡単にはあきらめない。捜査官は、レオにあったモップの数を尋ねた。そして、捜査官は、考子がその後「モップが無かった」(考子H12/9/12警察官調書)と言っていると武に教えた。

そこで、武は、「そう言えば、元々4本あったが、それが3本になっていた」と答えた。それをきっかけに、捜査官は、「そうだとすると、無くなった1本は誰かが持って行ったのではないか」と武にたたみかける。そして、武は、「モップを持って行ったのかな」などと考えるようになり、さらに、その「アイデア」は、自分が思いついたとさえ考えるようになった。

それに加えて、利根川の河原で八木がモップを持っている姿や八木に「モップを持って来い」と言われて自分が車からモップを出して八木に渡したなどということまで思い出した。しかし、武は、この時点ではそれ以上に細かなことは思い出せなかったと思われる。そのため、捜査官から、次の日までに利根川での様子をもっと細かく思い出しておくよう宿題を出された。その宿題が具体的に記されている。この日の取調べは、ここで終わったはずである。武は、留置場に戻って、この日の取調べの様子をノートに記載した。その上で、現時点でわかっていることを自分なりに整理した。利根川で佐藤の死体を流したことやモップで死体を押したことについては、思い出したようなつもりになったものの、半信半疑である。ノートにも「?」がついている。武は、考子が取調べでべらべらしゃべっているのに対し、自分があまりよく思い出せないことに強いあせりを感じている。考子の話が「一人歩き」して、それが利用され、自分が「すごく悪い立場になる」と心配している。翌日、再度取調べが予定されている。そのときまでに、きちんと思い出さなければならない。半信半疑のままでは眠ることもできない。武は追いつめられた。必死で思い出そうと努力した。すると、なぜか、突然、頭に絵が浮かんだ。八木がモップを持って何かを押しているような絵が浮かんだのである。

何とか翌日の取調べに間に合った。翌日、つまり、11月2日の武ノートを見てみよう。

今日も本庄で調べだった(鈴木さんの調べ)
刑事の調べ。
☆利根川でのようす
☆モップのこと
昨日思い出した事を言った。
***
☆☆☆
利根川でモップを使った時のようす
八木さんに「モップを持って来い」と言われて、持って行ったら、「これで押っぺしてみ」と言われて、私がヒモの方を持って押してみようと思って、やったら、とどかなかった。そして、八木さんに「とどかないよ」と言ったら、「かしてみ、オレがやるから」と八木さんが言って、押した。八木さんが「これで流れていくだろう」と言った。(武ノート5冊目:11/2)

武は、前日の夜、留置場の中で、なぜだかわからないが突然頭に浮かんだことを捜査官に語った。武は、捜査官にほめられたはずである。ほめられれば、武は、すぐ調子に乗る。さらに細かいことまで思い出してゆく。捜査官は、納得し、調書を作成した。

佐藤さんを流した時の状況で、はっきり思い出したことは、利根川の川原に行ってから、八木さんから「モップ持って来い」と言われたことです。そして、私は、車からモップをおろして、八木さんに渡したことも記憶にあります。そのモップは、レオの店でトイレ掃除に使っていたものと同じ形の物でした。レオの洗濯機のところに同じモップが4本あったのですが、この事件の後には3本になってしまったのを見て知っていましたから、レオのモップを持って行ったのだと思いますが、誰がいつの時点で車に積んだのかは、はっきりしません。
***
私からモップを受け取った八木さんは、私に、「これで押っぺしてみ」と言って、最初、私にそのモップを渡しました。佐藤さんの死体を流しに行った時のことですから、八木さんが、「これで押っぺしてみ」と言ったのは、佐藤さんの死体が流れやすくするために、川が深くなっている方に、死体をモップで押してみろという意味で言っていることはわかりましたし、押すものが佐藤さんの死体だということも当然承知のことです。ただ、その時、佐藤さんを川岸にどのように下ろしたのか、川岸でどのような状態で浮いていたのか、はっきりと思い出せません。
私は、モップの紐のついている側をもって、柄の先の方で佐藤さんの死体を押そうとしたが、柄の先が佐藤さんに届かなくて、「届かないよ」と八木さんに言いました。そしたら、八木さんが「貸してみ、俺がやるから」と私からモップをとって、そのモップの柄の方を持って、紐のついている側で佐藤さんを押し流すように、前傾姿勢になって押した格好をしていたことも記憶にあります。(武H12/11/2警察官調書)

こうして、モップに関する武の供述が完成した。武は、元々、モップを持って行ったかどうかさえ記憶になかった。しかし、考子の供述をぶつけられ、捜査官から利根川での様子を思い出すよう宿題を出され、さらに、早く思い出さなければという重圧の中で必死に思い出そうとした結果、頭に絵が浮かんできた。頭に絵が浮かんでくるなどという「絵に描いたような」思い出し方が本当にあるのかどうかはよくわからないが、「絵が浮かんだ」というのは、これまで思い出せなかったことの理由を一言で説明してしまえるようなとても便利な言葉だ。ともかく、この頭に思い浮かんだ絵をもとに、徐々に供述が作られていったのである。

そして、例によって、完成した武の供述は、アナリエにぶつけられる。アナリエは、当初は、利根川での様子については、何も語っていない。

私達全員でレオに戻った後、私と八木とマミの3人で渡辺荘に向かい、佐藤さんの死体を八木の茶色のワゴン車に乗せました。その後、私達は、坂東大橋の下を流れる川に佐藤さんの死体を捨てたのです。(アナリエH12/11/17上申書)

私たちはディナーショーの後、レオに行き、レオから抜け出して、八木さんたちと一緒に佐藤さんの遺体を川に捨てに行きました。(アナリエH12/11/20検察官調書)

1995年6月3日、私と武まゆみで佐藤さんに毒入りのパンを食べさせ、彼を殺しました。その後、私と八木、まゆみの3人で、彼の死体を川に捨てたのです。(アナリエH12/11/22上申書)

アナリエは、この時点までは、佐藤の死体を川に捨てたというだけで、それ以外には、何ら具体的には語れなかった。ちなみに、「佐藤の死体を川に捨てた」というのは、実際に佐藤の死体を川に捨てたという体験をしていなくても、佐藤の死体が利根川で発見されたことを知っている者なら、誰でも語れることである(当然のことながら、アナリエは、佐藤の死体が利根川で発見されたことを知っている)。

捜査官がいくら武の供述をぶつけても、アナリエは、自分が河原でつまずいたことも八木や武がモップで死体を押したことも語れなかった。そのような体験はしていないのだから、当然である。ある意味、アナリエは正直なのかもしれない。

捜査官は、このままでは、アナリエの供述が完成しないと考え、作戦を変更する。アナリエ自身に利根川での様子を再現させたのである(実況見分)。この実況見分の中で、アナリエは、次のように語った。

私は途中でつまづいた。
***
マミに「じゃま、あっち行け」と言われた。
***
[武が]棒のようなものを持ってきた。
[武が持っていた棒で何をしたか尋ねると、八木の上流側脇に立ち、鉄棒の先端を水中に向けてつくような仕草をして、]こんなことをやっていたと思う。(H12/12/10実施アナリエ立ち会い実況見分調書)

このように、アナリエは、河原でつまずいたことや「棒のようなもの」のことを語り始めたのである。今まで、佐藤の死体を川に捨てたとしか語れなかったアナリエが、なぜ、この実況見分のときに突如としてこのようなことを語り始めたのだろうか。

実は、この前の日に、武が全く同じような再現の実況見分を行っている(H12/12/9実施武立ち会い実況見分調書)。ここで武は、「アナリエが川の近くでずっこけたので私がアナリエに変わって両足を持った。」と話しているし、武や八木がモップで佐藤の死体を突っついたことも再現して見せている。この武による再現の実況見分については、八木や武、佐藤ら本人の代わりに、警察官が八木や武、佐藤の役をしている。八木の役は野澤孝行、武の役は照井忍、佐藤の役は星野信介である。彼らは、それぞれの役をこなし、武による再現を手伝った。翌日、同じようにアナリエによる再現が行われる。同様に警察官がそれぞれの役をこなす。アナリエによる再現の時は、八木の役は野澤孝行、武の役は照井忍、佐藤の役は星野信介である。つまり、配役は、前日の武による再現の時と全く同じなのである。それぞれの役を果たした警察官は、前日の武による再現状況を、視覚だけでなく体でも覚えているはずである。彼らの言動のひとつひとつが、翌日に行われたアナリエによる再現に影響を与えたことは容易に想像できる。このような中で、アナリエの供述が作られた。そして、アナリエの気が変わらないうちに、調書が作られる。

この横歩きの途中で、私は、パンプスの足が石か何かにぶつかってバランスを崩し、片足がカクンと曲がってつまずいたような感じになり、足首をグウンと捻りました。
***
それで私が車の後部の方を見ると、まみちゃんが何かを持って川の方に戻って行くのが見えました。私は、そのまま車の前に立って、まみちゃんの方を見ていました。そうしたら、まみちゃんが八木さんと合流したのがわかりました。まみちゃんと八木さんは川の淵に立っていました。そして、私は、まみちゃんが、身体を前後に動かしているのを見ました。さらに、今度は、まみちゃんがそれをやめて、八木さんが身体を前後に動かしているのも見ました。私は、何かの道具で、川の中の何かを押したり引いたりすることを代わる代わるしているように見えたのです。まみちゃんと八木さんがそのような動作をしている間、私には、水をかき混ぜた時に立つような音も聞こえていました。
(アナリエH12/12/12検察官調書)

こうして、武、アナリエの供述が完成し、それぞれが、その供述に基づいて証言しただけのことである。ここまでに述べてきたような供述が完成する経過を見れば、2人の証言が一致するのは当たり前であろう。逆に、2人の供述が一致しているからといって、その内容が真実だなどとは言えない。

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次に、判決は、考子による、アナリエが「ターちゃん、足濡れちゃったからサンダル貸して。」と言ったとの証言が、武とアナリエの証言に合致しているなどと言っているが、とんでもない話である。考子が言うことが本当だとすれば、「ターちゃん、足濡れちゃったからサンダル貸して。」と言ったアナリエ自身がそのことを証言するのが当然である。ところが、アナリエはそんなことは一言も言っていない。この点に関し、アナリエは、弁護人からの質問に次のように答えている。

あなた自身は,流れている川のすぐそばまで行ったのですか。
はい,近くまで行きました。
足が水に濡れるほど近くまで行ったんですか。
いいえ。
流れている川以外の場所で,例えば,水溜りのような場所で,あなたが足を濡らしてしまった,そういうことはありましたか。
はい,穴のところですかね,そういうことがありました。
穴の中に水があって,そこにあなたの足が入ってしまった,そういうことがあったんですか。
よく覚えてないんですが,そういうことがあった。この前,証言の中で説明したように,バランスを崩して私の足が何か変になったときがあったんですが,そのとき足が濡れたかどうかは,もう覚えてません。
レオに戻ってから,履物を履き替えたことはありましたか。
覚えてません。(第51回証言調書)

アナリエは、レオに戻って履物を履き替えたことも覚えていないし、足が濡れたことさえも覚えていないのである。考子が、アナリエが「ターちゃん、足濡れちゃったからサンダル貸して。」と言ったという証言をしたということは、むしろ、考子とアナリエの証言が矛盾していることを示しているのである。それなのに、判決は、「3人が3人とも」同じ証言をしているなどと言っている。本当にどうかしている。

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