2013年12月20日記者会見

本庄事件弁護団は、2013年12月20日、東京地方裁判所司法記者クラブにおいて、東京高等裁判所が佐藤修一氏の臓器を再鑑定する決定を行なったことを報告する記者会見を行ないました。その模様がYoutubeにアップロードされていましたので、ご紹介します。

以下は冒頭部分の書き起こしです。

高野隆弁護団長

 

即時抗告審に係属してから3年近く経過しておりますが、我々が求めていた溺死か否かについての再鑑定を裁判所が受け入れて、現在さいたま地検に保管されている佐藤修一氏の臓器を使って溺死の再鑑定をするという決定をしたということで、再審開始決定に向けて大きな第一歩がはじまったと考えております。そのことをみなさんにまず最初にご報告します。

 

本件は捜査段階からすでに10年以上経過していますけれども、1999年から捜査がはじまって今年で15年くらい経っていますけれど、ようやくこの事件が冤罪であったということを、共犯者の虚偽自白によって、無実の人が犯罪者ということで有罪の認定を受けて、しかも死刑判決を受けて、冤罪であったということが、ここにきてようやく証明されることになったということで、我々弁護団としては一段落したと考えております。この事件の即時抗告審の経過について、これから5分程度、弁護団のメンバーの井桁の方から説明させていただきます。

 

井桁大介弁護士

 

弁護士の井桁です。すでに幹事社の方を通じて資料をお配りしているかと思いますが、そちらに沿って少しだけこの事件の概要と今回の鑑定決定の意義というものをご案内したいと思います。

 

まずですね。この事件は戦後5番目-になると我々は確信していますが-になる死刑再審事件ということです。被告人、つまり今有罪判決を受けている人は、4人います。我々は今その主犯として死刑判決を受けた八木茂さんの弁護人をしています。この事件は2つの事件について有罪判決が下されたものでして、ひとつを渡辺荘事件、ひとつを風邪薬事件と我々は呼んでいます。今回鑑定決定がなされたのは渡辺荘事件に関するものです。

 

次の資料をめくっていただいて、この渡辺荘事件の概要をご説明しますが、こちらは保険金目当てのトリカブト殺人事件として有罪判決が下されたものです。そのトリカブト殺人の被害者とされたのが、佐藤修一さんという方です。この方は利根川から水死体として発見されたわけですが、弁護団は一審以来、一貫して、これは溺死なんだと主張しています。確定審はこれに対してトリカブトによって死んだ後利根川に投棄されたものだと判決をしたわけですが、今回の鑑定決定というのは、この点に関して、改めて法医学者の意見を聞こうというものになります。

 

皆さんにとっても馴染みがない部分だと思いますので、今回の決定がどういうものなのかということを少しだけパネルを使ってご説明します。これは配布資料にもお配りしたものですけれども、今回溺死か否かを鑑定する手法はプランクトンを用いた検査になります。

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溺死体及び死後没水死体におけるプランクトン被殻の分布(大矢正算ほか編著『法医・裁判化学[第3版]』)

 

これはですね。文献から引用した図なんですけども、川の中にはたくさんのプランクトンがいます。プランクトンとは珪藻と呼ばれていまして、固いガラス質を膜として持っているんですね。溺死の場合は水と一緒にプランクトンが体内に取り込まれて、肺胞を破ってですね。心臓であるとか、肝臓であるとか、腎臓にまで、このプランクトンが至るというふうに言われています。他方、亡くなってから川に放り込まれた場合には、このプランクトンが体内に入り込むことはない。こういった原理をもとにして行なうのが今回のプランクトン検査にもとづく溺死鑑定ということになります。実は今回の事件では一審から、つまり捜査段階から、プランクトン検査をしておりまして、佐藤さんの臓器からプランクトンが見つかっているということも前提にしているということもあります。あるんですが、これは一審段階では重視されませんでした。今回の再審即時抗告審東京高裁第10刑事部は、この点改めてやはり見直す必要があるだろうということで、保管されていた臓器を用いてもう一度プランクトン検査を実施し、また、我が国の-われわれはトップランナーだと思っていますが-法医学者にその死因を改めて鑑定するよう指示したということになります。

 

ちなみに我々はですね。この再審請求がはじまってから、これまですでに、大きく3つの意見書を提出しています。

 

ひとつは日本医大の大野曜吉先生。法医学のスペシャリストでして、沖縄のトリカブト殺人事件なども担当された方ですが、この方の意見書を2つ提出しています。この方は2つの手法を用いて佐藤さんの死因は溺死だと断言しています。
もうひと方が、東大法医学教室に所属している中嶋先生という方でして、この方は大野先生とはまた違った手法で佐藤さんの死因は溺死であると判定をくださっています。こちらもすでに裁判所に提出しています。

 

今回改めて裁判所が決定し行なわれる鑑定によってさらに溺死だと判断されれば、日本の権威ある3人の法医学者が佐藤さんの死因を溺死だと判断したことになります。また、今回の裁判所の委託する鑑定人というのは当然中立の方ですから、改めてその信用性というのも増強されるということだと我々は確信していますし、今回鑑定によって佐藤さんは溺死である、つまり八木さんは冤罪であったんだということが明らかになると確信しているところです。以上が今回の鑑定決定に関するご案内ということになります。鑑定決定の具体的な内容については写しを皆さんにすでにお配りしているかと思いますので、こちらをご覧いただければと思います。私からは以上です。

 

***以下質疑***

(弁護士 永井康之)

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