本庄事件第2次再審がはじまります!

最高裁判所は、2016年11月28日、第1次再審事件特別抗告事件に対する棄却決定をしました。これを受けて我々は、同年12月6日、さいたま地方裁判所に本庄事件第2次再審事件の再審請求書を提出しました。ここに一部固有名詞を編集し、誤記訂正を反映した再審請求書の全文を公開します。

 

再審請求書(第二次)一部固有名詞編集・誤記訂正版(ワードファイル)

 

第2次再審請求書において、我々は7件の新証拠を提出しました。風邪薬事件に対する鑑定書、第1次再審事件の抗告審において行われた裁判所鑑定の鑑定書及び抗告審決定に対する鑑定人の意見書、服役後に自らも再審請求を申し立てたアナリエの2通の供述録取書です。

 

このうち、風邪薬事件に対する鑑定書は第1次再審事件では大きく取り上げていなかった風邪薬事件の結論を覆すための新証拠です。

 

八木さんの死刑判決は渡辺荘事件と風邪薬事件という2件の殺人事件に対するものです。私たちは第1次再審においてトリカブト殺人を行なったとされる渡辺荘事件を覆すための活動を中心に行なってきました。本庄事件の証拠は膨大かつ専門的なもので、活用できるマンパワーを集中させる必要があったからです。そして、抗告審においては裁判所の行なった鑑定においてトリカブト殺人の被害者とされる佐藤さんの死因は溺死であるとの結論を得ることができました。しかし、このような決定的な鑑定結果を得たにも関わらず、再審開始決定を得るには至りませんでした。第1次再審の反省を踏まえ、第2次再審では渡辺荘事件だけでなく、風邪薬事件についても新証拠を提出して争っていきます。

 

風邪薬事件は、八木さんが大量の風邪薬を飲ませて森田さんを殺したという殺人事件です。しかし、そもそも八木さんは森田さんに大量の風邪薬を飲ませていません。そもそも、八木さんが1995年に佐藤さんにトリカブトを飲ませて殺し、保険金を受け取ることに成功していたのなら、なぜ1999年に殺害方法を変更して風邪薬で森田さんを殺さなければならないのでしょうか。過去に成功したのと同じ方法を使うはずではないでしょうか。そもそも風邪薬は人を殺すのに適した方法ではないのです。

 

確定審1審判決によれば、風邪薬事件の罪となるべき事実は次のようなものです。

【罪となるべき事実5】

被告人は、武まゆみ、森田考子及びアナリエ・サトウ・カワムラと共謀の上、森田(旧姓關)昭(当時61歳)を被保険者とする生命保険契約に基づく死亡保険金等を取得する目的で同人を殺害しようと企て、平成10年8月ころから同11年5月下旬までの間、埼玉県本庄市[引用者注:住所一部略]所在の「小料理マミー」店舗内及び同市[住所一部略]所在の「パブマネキン」店舗内において、同人に対し、殺意をもって、反復継続してアセトアミノフェン等を含有する総合感冒薬等及び高濃度のアルコールを含有する飲料を多量に嚥下、飲用させるなどし、よって、総合感冒薬等の過量長期連用による副作用等によって好中球の減少及び低栄養状態等による抵抗力の低下を惹起させ、同月29日午前2時ころ、同市[住所略]付近において、同人をこれに伴う化膿性胸膜炎、肺炎等により死亡させて殺害した。

 

要するに、八木さんは殺意を持って風邪薬と酒を飲ませ、人を肺炎にさせて殺したという異様な事実によって有罪となったのです。我々の常識では、風邪薬は風邪が悪化して肺炎にならないようにするためのものであって、人を肺炎にするためのものではありません。

 

この異様な判断をもっともらしくするために使われた論理のひとつが「好中球減少」です。風邪薬に含まれるアセトアミノフェンに極めて稀に好中球減少症という副作用があるとされているからです。しかし、好中球減少を示す証拠は肺炎の組織写真を根拠にした薄弱なものでした。我々は、日本大学医学部教授の逸見明博医師に改めて組織写真の鑑定を依頼し、森田さんの肺炎は好中球減少症の患者の肺炎ではないとの鑑定意見書を作成していただきました。この鑑定意見書こそが、風邪薬事件の新証拠の中核をなすものです。以下にその鑑定意見書の一部人名をマスキングしたものを紹介します。

 

逸見意見書(一部マスキング・別紙省略版)(PDFファイル)

 

再審請求書の提出の後、2016年12月9日に、我々は第2次再審請求に関する記者会見を行いました。記者会見にあたって、八木さんが公表したコメントは以下のような力強いものでした。

 

マスコミの皆様御苦労様です

 

来年の3月には、本庄事件も足掛け18年になります。

私は当初から真実を言い続けてきましたが、今回も棄却され、益々闘志が体の中でまぐまの様に煮えたぎっており、毎日瞑想して、闘志を燃やしている。

第2次審でアナリエさん共共、冤罪が晴れると信じて祈ります。

私は、出所後のお仕事のお勉強(毎日3時間)もヨガ(毎日2時間)も、365日13年以上やり続けています(ヨガは達人です。)。

私は、絶対に負けない。

私は、嘘は言っていない。

必ず再審の扉は開きます。

マスコミの皆様方も本庄事件に注目してください。

 

平成28年12月8日記す。

無実の死刑囚 八 木  茂

 

年が明けた2017年3月28日、我々は証拠一覧表交付請求書、証拠調べ請求書、三者協議の申入れ書という3通の書面を提出しました。

 

本庄事件の審理は事前に証拠を開示した上で集中的に行われたはずでした。しかし、第1次再審では、全て開示したことになっていたはずの調書に開示されていないものがあることが明らかになりました。また、開示された鑑定書の数が当時の新聞で報道された鑑定件数に比べて少なすぎ、開示されていない鑑定書の存在が疑われます。したがって、証拠一覧表の交付がなされなければなりません。また、第1次再審抗告審では、裁判所による鑑定で決定的な結果が出たにもかかわらず、裁判所は鑑定人から話を聞くこともなくその結果を覆しました。証拠調べ請求書は、第1次再審抗告審の鑑定人と、逸見教授の証人尋問を請求するためのものです。

 

三者協議の申し入れを受けて、第1回の三者協議はいよいよ本日6月21日に行われます。今後も本庄事件の支援をどうぞよろしくお願いします。

(弁護士 永井康之)

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